遺族の苦痛を償う意味のお金
このページでは、交通事故の死亡慰謝料について説明します。
一般の人は「交通事故損害賠償=慰謝料」と思っている場合が多いですが、実は慰謝料はたくさんある費目の一部にすぎません。
そして、慰謝料には次の3種類があります。
- 死亡慰謝料
- 傷害慰謝料
- 後遺障害慰謝料
死亡慰謝料は、愛する人を失った遺族の苦痛に対する償いのお金です。
生きていれば得られたはずの収入を補償する死亡逸失利益とは別物であることを理解してください。
事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。
※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル
死亡慰謝料の支払い基準
被害者の家族の中での位置づけによって金額が変わります。
- 一家の支柱: 2,800万円
- 母親・配偶者: 2,500万円
- その他: 2,000万円~2,500万円
ただし、これは目安であっていろいろな事情を汲んで増減されます。
加害者の運転が悪質だったり、事故後の態度が不誠実な場合、増額の理由になります。
ほかには遺族の悲嘆の度合いなども考慮されます。
かなり増えた例もたくさん出ているので、担当の弁護士さんに頑張ってもらってください。
一家の支柱の例
- 一つの事故で両親が死亡した事案。遺児2人にそれぞれ2,800万円を認めた。
- 娘が9歳の時に離婚し、17歳まで女手ひとつで育てた母が事故死。本人分2,600万円、娘400万円、計3,000万円を認めた。
- 外資系会社員の男性。本人分2,800万円、妻200万円、子2人各100万円を認めた。
母親、配偶者の例
- 主婦兼パートの被害者。本人分2,000万円、夫300万円、子2人各200万円を認めた。
- 34歳の専業主婦。本人分2,200万円、夫200万円、子2人各200万円、実父母と義父母各20万円、合計2,880万円を認めた。
独身男女の例
- 25歳の市役所職員。父母各1,400万円、合計2,800万円を認めた。
- 17歳高校生。本人分2,200万円、父母各400万円、妹100万円、合計3,100万円を認めた。
- 独身の姉妹が一つの事故で同時に死亡。2人しかいない子供を同時に失った両親の苦痛、加害者の無謀な運転等を考慮し、2,800万円×2人=5,600万円を認めた。
子供・幼児の例
- 妊婦が追突事故の1カ月半後に超未熟児を出産し、その後死亡。事故との因果関係を認め、本人分2,000万円、父母各100万円、合計2,200万円を認めた。
- 3歳の女児。親の悲嘆の度合いなどを考慮し、本人分2,200万円、父母各300万円、合計2,800万円を認めた。
高齢者の例
- 妻の介護や家事を行っていた76歳の男性が事故死。本人分2,000万円、妻200万円、子3人各67万円、合計2,401万円を認めた。
- お好み焼き店経営者の81歳の女性。本人分2,000万円、子2人各150万円、合計2,300万円を認めた。
内縁関係者の例
- 55歳の会社員。9年事実婚の内縁配偶者に1,000万円を認めた。
- 妹と二人暮らしの61歳年金生活者。本人分1,900万円、妹300万円、被害者が親代わりとなって育てた姪に100万円、合計2,300万円を認めた。
胎児の例
- 出産予定日の4日前の事故により死産したとして800万円を認めた。
- 事故の衝撃で妊娠27週の胎児が死亡したとして、250万円を認めた。
- 41歳主婦の早期流産について200万円をみとめた。