【渉外交通事件|交通事故損害に関するその他の項目】

国内の外国人事故や海外の事故

国内の交通事故で、加害者または被害者が外国人である場合。

 

あるいは日本人が海外で交通事故に巻き込まれた場合。

 

国内の日本人同士の交通事故とは違う様々な問題が発生します。

 

「赤本(※)」の「渉外交通事故」の章には、この種の問題に関する情報が豊富に収録されています。

 

正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。

 

※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル

 

日本における渉外交通事故

日本国内での事故は日本の裁判所が管轄権を持ちます。

 

これは外国人同士の事故でも同じです。

 

ただし、相手国も管轄権を持っている場合は調整が必要になります。

 

損害算定

この種の事故で問題になりやすいものの一つが、損害算定です。

 

例えば死亡事故の場合。

 

物価の高い国の人の場合はその国の水準に合わせれば問題は少ないです。

 

しかし、物価が大幅に安い国の人に日本の水準で支払えば、遺族に損害賠償の範囲を超えた巨額のプレゼントをすることになりかねません。

 

といって低く取りすぎれば、「開発途上国の人間の命はそんなに安いのか?」と問われる可能性もあります。

 

死亡慰謝料の判例を見ていると、永住資格取得者や長期滞在者は日本人と同等、短期滞在者はかなり低めの例が見られました。

 

例えば、死亡慰謝料は1.000万円とされた例が、フィリピン人やペルー人の短期滞在者で見られました。

 

渡航費・遺体搬送費等

治療のための帰国費用や遺体搬送費も日本人同士の事故にはない問題です。

 

必ずしも費用の全額ではないですが、認めた判例が載っていました。

 

不法滞在者・密入国者

不法滞在者・密入国者の場合、法律を犯しながら事故に遭った人にどの程度損害賠償するのかも難しい問題です。

 

一般的に不法滞在者・密入国者だからとバッサリ斬り捨てるようなことはしていないようです。

 

外国における日本人同士の事故

一番多い事故類型は、日本人同士の同乗事故で、運転者が加害者、同乗者が被害者というケースです。

 

日本の裁判所に管轄権があるケースと、それが却下されて現地での裁判になる場合があるようです。

 

  • アルゼンチンで日本人の運転で日本人の同乗者が死亡。アルゼンチン民法での損害賠償額算定は公序に反するとして、日本の民法に基づいて逸失利益、葬儀費用、慰謝料等を算定。

 

外国において日本人が一方当事者となった交通事故

被害者となった場合は、現地の弁護士を探して依頼するのが普通です。

 

加害者となった場合、保険に加入していれば、保険会社が示談を代行して、訴訟にならずに解決することもあります。

 

現地で訴訟を起こされてしまったら、現地の弁護士が必要です。

 

保険会社が弁護士探しを手伝ってくれる場合もあります。