営業損害、積荷や建物の損害等
交通事故の物損の賠償に関して、基本ルールや判例をまとめました。
このページでは、車関係以外の物損について説明します。
営業損害、積荷や建物の損害等です。
事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。
※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル
営業損害等
店舗に車が突っ込んだで営業できなくなったりした場合の損害が認められます。
- 喫茶店にダンプが突入して7日間休業。事故前3カ月の1日平均売上7日分を認めた。
- 店舗設計等のデザイン事務所。PC等機器代、データ復元費用、事務所が使用できない35日間の売上減少1日当たり2万円などを認めた。
- 展示場設営・運営のための要員が事故で現場に行けず。代替の派遣要員費用を認めた。
積載物の損害
- 積み荷の缶ジュース。全量廃棄処分のジュース代、積み荷積替え費用、応援車両、積み荷荷下ろし費用、現場残処理費などを認めた。
- 普通自動車に乗せていた骨董壺4個につき、被害者請求80万円に対して40万円を認めた。
- エアコン60台。修理・検査の費用は積み荷の時価+廃棄費用を大幅に上回る。よって後者を認めた。
- 美術品が被害。売値での賠償は不適切だが、仕入れ値とするのもあまりに酷。間を取る判断で1,571万円を認めた。
着衣・携行品の損害
- バイオリンと弓が焼失。経過年数ではなく、作者・音質等で価値が決まることを認めてもらえて、購入価格900万円の賠償決定。
- ノートパソコン代、ハードディスクのデータ修復代などが認められた。
- メガネ、パソコン、自転車、カバンなど、事故前2カ月から2年4カ月の間に購入した物品の損害が認められた。
家屋・建物・設備の損害
- レストランに大型貨物車が突入。修理費、看板取り付け費、食器・冷蔵庫・カラオケ等購入費、休損、弁護士費用等1059万円を認めた。
- 普通自動車が紳士服量販店に突入。店舗修理や警備の費用を認めた。
- 新築建売物件。修理しても不動産価値は低下したとして、修理費の40%270万円の評価損を認めた。
物損に関する慰謝料
原則として物損には慰謝料は認められません。
しかし、例外もあるので精神的損害が大きい時は要求できないか、弁護士に相談してみましょう。
- 居酒屋兼住居に車が突入。けが人はなかったが、命の危険もあり、家庭の平穏を乱されたとして慰謝料30万円を認めた。
- 霊園で墓石倒壊等。先祖・故人の眠る神聖な場所を乱されたということで慰謝料10万円を認めた。
- 飲酒運転で駐車車両にぶつけて逃走。被害者が自力で加害車両を探し出したので、慰謝料10万円。
ペットに関する損害
飼い主にとってペットは家族ですが、法律上は物品扱いであり、ペットの傷害・死は物損となります。
物損なので、原則として慰謝料はありません。
しかし、例外もあるので処罰感情が強い場合はがんばってみましょう。
- ゴールデンレトリバーの治療費、タクシー代、検査費用などを認めた。
- 犬の葬儀費用と慰謝料5万円を認めた。
- 血統書付きのパピヨンが死亡、シーズーが負傷。パピヨンの財産的損害15万円、火葬費2万円、シーズーの治療費8万円、慰謝料10万円、合計36万円を認めた。