【6.子供の学費等|交通事故の積極損害】

勉学を全うさせてあげるために

被害者が子供の場合、その学習費、保育費、通学付添費などが認められることがあります。

 

ただし、被害の程度、子供の年齢、家庭状況などを判断して妥当な範囲に限られます。

 

この損害費目に関する注意点をまとめました。

 

事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。

 

※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル

 

進級遅れの授業料等を認めた事例

交通事故のために休学や留年を余儀なくされた場合に、増加した学費などが認められることがあります。

 

  • 入通院のために1年休学した女子高生の補習費を認めた例。
  • 手の痛み・痙攣のためにピアノが弾けないので卒業試験を見送った音大生。留年期間中の授業料や通学費用を認めた例。
  • 事故のために1年留年した大学生の授業料とアパート家賃を認めた例。

 

後遺障害のために授業についていくことができなくなった小学生のための家庭教師謝礼が認められた例もあります。

 

無駄になった支払い済学費などを認めた例

すでに支払い済みであるが、受傷のためにムダになった学費・教材費・通学定期代などが認められることがあります。

 

  • 死亡した男児の小学校入学金・寄付金・制服等購入費が認められた例。
  • 事故のために修了できなかった自動車教習所代を認めた例。
  • 司法書士専門学校の学費を認めた例。
  • 死亡した被害者が入学予定だった大学の支払い済み学費のうち、返還されない入学金を認めた例。

 

保育料を認めた例

被害者の付添看護のために幼い子供の面倒を十分見れなくなった時に、保育費用が認められる場合があります。

 

  • 3幼児の母。一人の付添のために他の2人を保育所に預けざるを得なくなった費用を認めた例。

 

通学付添費を認めた例

事故後に通学を再開した子供が単独で通学できない場合、通学付添費が認められることがあります。

 

  • 脳挫傷で1年留年した高校生の1年分の学費と通学付添費を認めた例。
  • 単独で通学が無理だった1カ月分の母の車送迎費用を認めた例。
  • 車いす通学期間の母の通学付添費を認めた例。

 

これと似たもので、事故のために自宅通学が難しくなった大学生のために、卒業までのマンション賃貸費用が認められたケースがあります。

 

家族の監護料を認めた事例

受傷のために、それまでしていた家族の世話ができなくなる場合があります。

 

その場合、ほかの家族に頼むか、介護士等に頼むか、施設に入れるなどの対処が必要になります。

 

そうした損害も認められることがあります。

 

  • 4歳児が四肢麻痺。母が付添のために2歳の弟の面倒を見られなくなった。弟が小学校に上がるまでの祖母による監護費用が認められた例。
  • 事故のために介護できなくなった痴呆状態の母の施設介護料を認めた例。
  • 事故のために娘の世話を依頼した両親の監護費用を認めた例。