【3.減収はないが逸失利益を認めた例|交通事故の消極損害】

障害で苦労が増しているなら、あきらめないで!

後遺障害逸失利益は、後遺障害のために労働能力が低下したことによる減収を補償するものです。

 

だから減収が発生していることが通常原則になりますが、減収がなくても補償されることがあります。

 

下記の例に類似する事情がある場合、簡単には通りませんが、ぜひ弁護士に交渉してもらいましょう。

 

事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。

 

※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル

 

例えばどんな場合か?

事故後に復職して、降格や減給にはなっていないが、以前と同じではない。

 

はるかに苦痛や努力が増えたし、周囲の助けもあって何とか仕事をこなしている。

 

当面の収入は変わらないが、今後の昇給昇格機会は多分減るだろう。

 

そういう場合に何の補償もないのはおかしいじゃないか、というわけです。

 

  • 復職し減収のない1級障害の地方公務員。将来の昇進、昇給、転職で不利益を受ける蓋然性があるとして、70%の労働能力喪失を38年間認めた例。
  • 14級の学校教師。めまい、耳鳴り、吐き気等で5%の労働能力喪失を6年間認めた例。
  • 右大腿部切断の清掃作業員。事故後の減収は目下のところないが、やむを得ない労働時間短縮や欠勤が増えている。今後の免職もありうるとして60%の労働能力喪失を認めた。
  • 放射線技師。減収がないのは本人の努力によるもの。今後は昇給上の不利益を被る蓋然性があるとして、15年間10%の労働能力喪失を認定。利き腕右上肢不全麻痺の事務職会社員。障害の内容と職種をみれば仕事効率への影響は明らか。今は努力で減収を免れているにすぎないとして、39年間27%の労働能力喪失を認定。
  • 半身不随の会社員。事故後も減収がないのは本人の努力と勤務先の温情。85%の労働能力喪失を認定。
  • 左腿切断の洋品店販売員。事故後、給与は維持も店長から店員へ降格。減収がないのは本人の努力と経営者の温情。44年間92%の労働能力喪失を認定。
  • 左足に障害を負った准看護師。事故後の移動で年収が増えているが、将来の不安定さは増したとして、労働能力喪失が認められた。
  • 右足に障害を負った外装工事業者。車を運転したり、現場で重量物を持つ様子が撮影されたが、本人の特段の努力によるもので、労働能力喪失の認定には影響しないと判断された。
  • 左足に障害の大学生。事故で1年留年して採用内定し、同期と同様の待遇となったが、42年間45%の労働能力喪失が認定された。