入院付添1日6,500円、通院付添は3,300円
入院で付添看護が必要な場合、特に理由があって職業付添人を使う場合は、実費全額が認められます。
近親者付添人は1日6,500円が認められ、事情によっては1~3割の増額が配慮されることもあります。
一人で通院できない被害者の通院付添には、1日3,300円が認められます。
この損害費目に関する注意点をまとめました。
事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。
※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル
近親者の付添看護費
完全看護体制で医師の指示も特にない場合、近親者の付添看護費は必ずしも認められません。
それでも死亡や重い後遺障害の場合は、認められやすい傾向にあるようです。
- 心肺停止・昏睡の状態で42日後に死亡した小学生の例。母親の42日分の付添看護費と父親の休業損害が認められた。
- 日常生活のすべてに介護が必要で、重度の痴呆状態の被害者。職業付添人の費用とは別に近親者の付添費用も認められた例。
- 完全看護体制だったが看護師は多忙で十分対応できず、被害者はイライラすると大声を上げるため、車いすで室外に連れ出す必要があった例。近親者の入院付添費や通院付添費が認められた。
後遺障害等級3級以下の場合も認められた事例が出ていました。
- 両下肢の機能障害の女性。(併合5級)完全看護に付されていたが、夫や子2人の付添費を傷害の程度や年齢を考慮し、認めた例。
- 左足関節機能障害等の大学生。4回の入院を要し、入院先が完全看護体制であったとしても付添費を認めるべきとの判断になった例。
付き添った人の休業損害が認められる例もあります。
- タクシー運転手の妻が被害者の夫に付添い、253万円の減収が発生。付添看護費・通院付添費・介護料を被害者本人の損害と認め、その合計額を減収から差し引いた残額136万円を妻の休業損害として認めた例。
- 植物状態に陥った少年を両親が介護。両親の付添介護費を認めたほか、仕事を休んだ父親の休業損害を認めた例。
通院付添費
通院付添費は一人で通院できない場合に認められます。
幼児、症状が重くて一人で歩けない、転倒の危険が大きい、脳障害で見守りの必要がある、などの場合です。
この費目は被害者本人の損害という扱いになります。
1日3,300円が基本ですが、事情に応じて増額を考慮されることもあります。
赤本には下記のような事例が載っていました。
- 4歳女児の通院のために仕事を欠勤して付き添った母親に1日1万円6日分を認めた例。
- 頭部手術後の通院であり、入院時に全身痙攣を起こしているので、通院付添は当然として認められた例。
- 記憶力低下の顕著な被害者は見守りが必要と判断され、通院付添費が認められた例。
- 大腿骨骨折後で転倒防止の観点から通院付添費が認められた例。
症状固定までの自宅付添費
通院ではなく、自宅での付添費が認められることもあります。
下記の例をはじめ、赤本には多数の事例が収録されていました。
- 自宅付添中、けいれん等に備えて家族が24時間体制で介護に当たらざるを得なかったとして、日額1万円を認めた例。
- 高次脳機能障害の女子大生。退院後もしばらくは着替えや入浴を一人でできなかったので、母親の付添費を認めた例。
- 皮膚移植をし、自分で手の届かない部位のガーゼ交換が1日数回必要だったとして、自宅付添費を認めた例。