特殊な損害も漏れなく請求しましょう
これまで挙げた10種類以外の積極損害費目に関する情報をまとめました。
事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。
※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル
後見関係費用
成年後見制度とは、判断力の不十分な成人が不利益を被らないように、家庭裁判所に申し立てて、援助者をつけてもらう制度です。
本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市区町村長等に申立権があります。
援助者には後見人・保佐人・補助人の3種類があります。
後見人の担い手は親族(2010年の統計では約6割)、残りが第三者後見人。
第三者後見人のうち、司法書士・弁護士・社会福祉士などの士業の人を職業後見人ともいいます。
成年後見開始の審判手続き費用などが、必要かつ相当な範囲で認められます。
- 身寄りのない植物状態の被害者。成年後見人に専任された弁護士の後見人報酬も損害の一部と認められた事例。
- 植物状態の被害者の後見人になった弁護士。年51万円の報酬および事務費を平均余命分、弁護士費用とは別に認められた事例。
海外の旅費が認められた例
事故に遭った親族の付添看護をするために、海外出張先や留学先から急遽帰国した場合。
あるいは事故に遭ったために支払い済みの海外旅行費が無駄になった場合。
損害が認められることがあります。
事故死した母の葬儀に出席するために、米国から帰国した息子の家族の旅費を認めた例もありました。
ほかには通えなくなったスポーツクラブの会費やコンサートのキャンセル料を認めた例も載っていました。
ペットの飼育費用が認められた例
治療中にペットを知人やペットホテルに預けた費用が認められることがあります。
親族の治療費を認めた例
被害者の親族が精神的ショックで病んだ時に、治療費が認められることがあります。
- 乳児を失い、自分も軽傷を負った後PTSDに陥った母親の治療費を認めた事例。
- 夫を失った精神的ショックでうつ病になった妻の治療費を認めた事例。
- 子供を失ってうつ病になった母の治療費を認めた事例。
医師への謝礼を認めた事例
社会通念上、相当な範囲であれば、医師への謝礼なども損害として認められることがあります。
症状が重い場合や長期の治療の場合が多いようです。
献血に来た医師・看護婦・ヘルパーへの謝礼を認めた事例もありました。
弁護士費用
認容された他の賠償額合計の1割程度が、事故と因果関係のある弁護士費用として認められます。
- 1億9410万円の認容額に対して、1941万円の弁護士費用を認めた例。
- 捜査段階で過失を認めていた加害者が民事訴訟では争い、かつ理由なく本人尋問に出頭しないなどした。このために弁護士を雇う必要が出てしまったとして、弁護士費用を損害として認めた事例。